中国では「健康中国2030計画要綱」や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、医薬品業界は拡大傾向にあります。さらに中国での日本製医薬品はニーズが高いため、中国進出を考える製薬会社も多いはずです。今回の記事では、日本の医薬品業界が中国に進出するメリットや課題について解説します。
医薬品業界における中国市場は、2025年ごろまで拡大していくと予測されています(※1)。中国では「健康中国2030計画要綱」が打ち出されており、医薬品をはじめとするヘルスケア産業の強化・拡大が国家単位で進められているためです。
実際に2022年度のヘルスケア産業の市場規模を見ると、1月から8月までの資金調達発生が1,026件、累計金額は891億7,400万元でした(※2)。また新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、中国の業種別工業生産データでは、2022年1月から3月までの3か月間で、医薬品が11.8%を占めました(※3)。
医薬品の工業生産の割合は2019年には6.6%、2020年には5.9%、2021年に24.8%(※3)であったことから、2021年から2022年にかけて急速な拡大傾向にあると考えられます。
中国の人には、「日本の医薬品を日本企業から購入したい」との気持ちがあるとされています。中国で販売されている日本製医薬品よりも、日本企業から購入する医薬品の方が確かであると考えているのかもしれません。つまり中国では日本企業から提供される日本製医薬品へのニーズが高く、進出に失敗しにくい傾向があると考えられます。
さらに日本では少子化により経済が縮小傾向にある中、新興国では人口の多さ、所得の増加により経済が拡大しています。急速な経済成長が見られる中国にも当てはまることであり、日本の医薬品業界が中国進出をすれば、収益増加が見込めるのではないでしょうか。
医薬品業界が中国進出をする上では課題もあります。中国にはすでに欧米の製薬会社が市場を展開しており、競合との競争を避けにくいことがひとつです。そしてもうひとつは、中国は地域によって異なる医療ニーズをもつということです。
日本の医薬品業界には、すでに中国進出において成功している企業もあります。その代表的な存在であるのが大塚製薬です。大塚製薬は1981年に日本で初めて、中国にて合弁会社を設立した製薬会社であり、中国から「中国大塚製薬有限公司」と名乗ることを認められました(※1)。
また武田薬品も中国進出において成功をおさめています。武田薬品は2012年に中国へと進出し、2018年以降は中国に新たな治療法をもたらすため貢献しました。予測では中国研究開発システムへの投資が増えることにより、2030年には世界で2番目に大きな製薬会社になるかもしれないとされています(※2)。
中国において医薬品業界は拡大傾向にあり、日本製の医薬品を日本企業から購入したいとのニーズもあるため、中国進出には希望があるはずです。
しかし日本の医薬品業界が中国進出を成功させるには、地域による多様なニーズを把握し、欧米の製薬会社と戦えるだけの戦略が必要となります。中国進出支援を有効活用し、戦略を立てた上で進出しましょう。
中国進出支援に特化しているコンサルタントファームは検索結果で調査できた限りでは全部で46社。
46社の数ある中国進出コンサルファームの内、日本国内に相談窓口を置き、なおかつ中国現地にも拠点を持っている、
いわば‟中国の今を知る“心強いパートナー候補となりうる会社は11社でした。
さらに、11社をカテゴライズしていくと、2022年9月現在では3つの進出市場の支援がにぎわっているようです。
まずは、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
中国版Tiktokなどにおいて、ブランド公式アカウントや動画コンテンツ内での公式ECショップ出店、独自の動画コンテンツ発信で知名度を高めるとともに、「ライブコマース」による販売拡大 (8000億円上振れ市場)。
新しい販売チャネルで中国での
製品知名度を上げ、戦略的に中国での販路拡大をしたい中堅企業
中国国内ECプラットフォームにおいて高いシェア率を誇るタオバオや、97.4兆円以上の市場を持つTmallなど、大手ECモールへの出店をサポートし、販売拡大を実現してくれます。
市場で埋もれない独自性のある
製品を取り扱う、広範戦・遠隔戦で中国の市場を席捲したい企業
飲食店や物販店に限らず、IT・金融商品やサロンなど、自社サービスを現地で提供するために法人を立ち上げたり、実店舗を出店したりして事業展開を行う企業をサポートしてくれます。
物販以外のサービス拡大を現地で腰を据えて、中国現地密着型で
着実に事業拡大したい大手企業
【上記のカテゴリーでそれぞれ選定した会社とその基準】
2022年6月22日時点、「中国進出支援」でGoogle検索して表示されたコンサルティングファーム全て(46社)を調査。その中で日本にも中国にも拠点を持ち、日本人・中国人コンサルが在籍する中国進出支援に対応しているコンサルを選定(11社)。その中から中国進出支援範囲が広いコンサルファームを各カテゴリーに振り分けました。
・ポリスター:支援項目37つ
・パル:支援項目21つ
・トータルソリューション:支援項目21つ